本科目では、自然科学の視点に基づき人間(ヒト)について理解し、考察することを目指す。特に、進化生態学や生物人類学と呼ばれる研究分野の知見から、ヒトの行動についてアプローチする。生態、環境、心理、社会、文化といったマクロな視点と、遺伝子、神経、生理といったミクロな視点の双方から、行動の機能と仕組みについて解説する。 人間の生物的基盤、すなわち「ヒト」としての形質に注目するアプローチと、社会・文化的特徴に注目するアプローチはしばしば対比するものとして見られがちである。しかし、両者は決して排他的ではなく、人間(ヒト)とは何か? という問いを探究する点は共通している。さまざまなトピックを通してこのことを解説しながら、行動を科学的・統合的に研究するとはどういうことかについて考えるきっかけも提供する。ヒトの普遍性と特殊性を知るために、ヒトとヒト以外の動物の比較も多く取り入れる。
本科目は、生物学や人類学に関する入門的な科目である。他の関連する科目とあわせて履修することで、学修をさらに深めることができる(本科目の履修の必須条件ではない)。
【重要】本科目は遠隔授業(対面授業相当)で、各キャンパスでの受講形態は以下の通りである。 ・彦根:指定の時間に指定の教室に来て、対面で授業を受ける。 ・大津:指定の時間に指定の教室に来て、遠隔で授業を受ける(彦根での授業を生配信)。 指定の時間外に授業映像を視聴したり、指定の教室外から授業を受けることはできない。他の「オンライン授業」とは取り決めが異なる部分もあるので、注意すること。
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本科目の一般目標(GIO:General Instructional Objective)は、以下の2点である。 1 日常生活で見られる我々の営みについて、生物学の理論に基づき考察することができるようになるために、ヒトの行動を科学的に理解する。 2 現代社会が抱える諸課題に対して、科学的に検討することができるようになるために、人類の進化史を理解する。
そして、行動目標(SBO:Specific Behavioral Objective)は以下の10点である。 1 進化生物学の理論を、説明することができる。 2 人類の進化史の概要を、説明することができる。 3 行動の究極要因について、説明することができる。 4 行動の至近要因について、説明することができる。 5 発達理論と学習理論について、説明することができる。 6 ヒトの特徴を、ヒト以外の動物と比較して説明することができる。 7 人間の社会・文化的特徴について、ヒトの生物的基盤と照らし合わせて説明することができる。 8 現代社会の課題について、科学の視点から考えを述べることができる。 9 本科目の内容に関連する最新の研究論文に、アクセスすることができる。 10 ヒト、および人間とは何かについて、科学的に考察することができる。
これらは、滋賀大学のディプロマ・ポリシーの以下の項目と特に関連がある(順不同)。 ・深い教養と高い倫理に支えられた人間性 ・豊かな創造力を備えた専門性 ・文系・理系双方の科学に通じた文理融合型知性
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第1回
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イントロダクション、行動とは何か、科学とは何か、研究の手法、社会生物学論争
(授業計画で示す項目、順番、時間配分等は、状況に応じて微調整することもある。授業内で適宜、議論の時間も設ける。複数の科目で共通して重要なトピックについては、他の科目と内容が一部重複することもあるが、注目する視点はそれぞれで異なる。)
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第2回
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究極要因、至近要因、適応進化、人類の進化史(1)
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第3回
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究極要因、至近要因、適応進化、人類の進化史(2)
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第4回
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社会(コミュニケーション、協力、家族等)(1)
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第5回
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社会(コミュニケーション、協力、家族等)(2)
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第6回
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性(性差、配偶、生活史戦略等)(1)
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第7回
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性(性差、配偶、生活史戦略等)(2)
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第8回
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発達
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第9回
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学習
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第10回
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行動の遺伝・生理学的メカニズム、ストレス
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第11回
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進化医学
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第12回
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進化考古学、進化人口学、その他の関連分野
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第13回
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生物進化と文化進化
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第14回
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進化的に非適応的な行動や現象、科学と社会
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第15回
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振り返り、まとめ、「ささやかな人間理解の科学」
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予習:事前に配布する資料に目を通し、各回の概要を把握する。(1回の授業につき1時間以上)
復習:授業の内容を振り返り、配布する確認問題を各自で解く。疑問が残る場合は、担当教員に質問して解消する。(1回の授業につき3時間以上)
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評価は以下で行う。 ・期末レポート 70% 応用的な論点も含め、授業全体の理解度の評価 ・各回の授業で提出するリアクションシートの内容 30% 各回の授業の要点の理解度の評価、議論や考察への貢献度の評価、および平常点
これらの事務的な連絡については、授業内でも行う。
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期末レポート等の記述問題については、以下の項目に従って評価する。これらを通して、授業の到達目標として挙げた項目の評価を行う。 ・指定文字数に従っているか。過不足がないか。 ・出題内容の問い、趣旨に答えているか。 ・専門用語を適切、正確に使用しているか。 ・文章が論理的か。 ・誤字、脱字がないか。 ・引用文献、参考文献の出典を適切に示しているか。 答案の作成にあたっては、以下の点を特に意識すること。 ・設問をよく読み、指定された内容をすべて含めること(例:AとBについて説明せよ → AとBの両方を説明する)。
最終成績の目安は、以下の通りである。 【秀】自然と人間に関して、授業で扱った内容のほぼすべてを理解し、極めて適切に答案をまとめることができた。(90点以上) 【優】自然と人間に関して、授業で扱った内容の大部分を理解し、適切に答案をまとめることができた。(80点以上、90点未満) 【良】自然と人間に関して、授業で扱った内容の要点は理解し、答案をまとめることができた。(70点以上、80点未満) 【可】自然と人間に関して、授業で扱った内容の一部は理解し、部分的には答案をまとめることができた。(60点以上、70点未満) 【不可】授業の到達目標を達成することができなかった(上記の合格基準には達しなかった)。(60点未満)
生成AIの使用は可とするが、以下の注意事項を厳守すること。 ・生成AIの出力結果をそのまま引用するのみではなく、他の方法でも調べた情報や自分自身の考察も加えること。 ・生成AIの種類(ChatGPT、Gemini等)、設定したプロンプト、使用した箇所や目的を明記すること。
その他の基準については、滋賀大学の規程に従う。
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9784595323867
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進化心理学
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大坪 庸介(著)
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放送大学教育振興会
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2023年
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9784130639552
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進化的人間考
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長谷川 眞理子(著)
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東京大学出版会
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2023年
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9784320057388
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行動生態学
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沓掛 展之・古賀 庸憲(編)
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共立出版
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2012年
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参考書の購入は必須ではないので、授業を受講しつつ各自で必要性を判断すること。
参考書1『進化と人間行動』について 2026年3月26日に第3版が出版予定 https://www.utp.or.jp/book/b10157504.html
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授業の内容や学修の進め方について不安・疑問がある場合は、都度担当教員に相談・質問して解消を図ること。本科目では、ヒト(人間)がもつ普遍性と特殊性を、主に生物学の視点から探究する。「正解」がないような問いについて、科学的に粘り強く考える姿勢を大切にして欲しい。
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人間行動進化学、生物学、人類学、ヒト、進化、生態、環境、心理、社会、文化
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